結論から書きます。本文わずか99文字、必須情報がほとんど欠け、常套句だけで書かれた求人票は、当サービスの診断エンジンで13点・ランクDでした。それを「法令面のクリーン化→必須情報の網羅→常套句を検証可能な事実に置換→応募をためらう人の不安への先回り回答→低いハードルの応募導線」の5手順でリライトし、同じエンジン・同じ業種条件(建設)で再採点したところ、96点・ランクSになりました。この記事は、その添削で「何を・どの順で・どう直したか」を全部見せる記録です。読み終えたとき、同じ手順をあなたの原稿に適用できる状態になることを目指して書いています。
前提: この採点は何を測っているか
採点しているのは当クリニックの診断エンジンです。求人票のテキストを、機械チェック(法令・必須情報・具体性=60点分)とAI評価(訴求力=40点分)の二層で、業種別の基準により100点満点で採点します。機械チェック部分は同じ原稿なら誰が実行しても同じ判定が出ます。
| カテゴリ | 見ている内容 | 配点 |
|---|---|---|
| 法令・表現リスク | 性別・年齢等の表現規制に触れる疑いのある文言の検出 | 20 |
| 必須情報の網羅 | 仕事内容・給与・勤務地・勤務時間・休日・雇用形態・保険・応募方法の8項目 | 25 |
| 具体性・読みやすさ | 情報量、数字の密度、常套句、見出し・箇条書きの構造化 | 15 |
| 訴求力(AI評価) | 誰に向けた求人か、他社との違い、不安への回答、誠実さ | 40 |
ひとつ断っておくと、法令カテゴリの指摘は「疑わしい表現の検出」であって法的助言ではありません。最終的な適法性の判断は行政・専門家の領分です。
リライト前: 13点・ランクD。何がどう欠けていたか
| カテゴリ | スコア(リライト前) |
|---|---|
| 法令・表現リスク | 6 / 20 |
| 必須情報の網羅 | 4 / 25 |
| 具体性・読みやすさ | 0 / 15 |
| 訴求力(AI評価) | 3 / 40 |
| 総合 | 13 / 100(ランクD) |
中身を具体的に書きます。この99文字の原稿に書かれていたのは、職種名・雇用形態・保険と、「アットホーム」「明るい職場」「やりがい」「頑張り次第」「成長できる環境」という5つの常套句。それに加えて、応募者の性別を限定する文言と、年齢の上限を区切る文言(例外事由の記載なし)が入っていました。この2つは男女雇用機会均等法・労働施策総合推進法の表現規制に触れる疑いがある書き方です。規制に触れる疑いのある文言をここに再掲するわけにはいかないので、原文の全文は掲載しません——が、ハローワークや無料掲載枠の求人で、似た構図の原稿を見た記憶のある方は多いはずです。
診断レポートが自動生成した「最優先の改善ポイントTOP3」はこうでした。
- 性別を限定・優遇する表現 — 募集・採用で性別を限定・優遇する表現は原則できない。性別中立な職種呼称への変更が必要
- 年齢を制限する表現 — 募集・採用は原則年齢不問。制限には例外事由への該当とその明示が必要
- ターゲット訴求の明確さ — 来てほしい1人が決まっておらず、誰にも刺さらない
必須8項目のうち記載があったのは雇用形態と保険の2つだけ。仕事内容・給与・勤務地・勤務時間・休日・応募方法は、すべて未記載でした。単位つきの数字は1箇所、見出し・箇条書きは0行です。
リライトの全手順(実施順・実例つき)
ここからが本題です。実施した順に、何をどう書き換えたかを載せます。特別な道具は使っていません。すべて、社内の事実を確認して文字にする作業です。
手順1: 法令面をクリーンにする
最初にやるのは、足し算ではなく引き算です。性別を限定していた書き方は、性別中立の職種呼称と「男女不問」の明示に改めました。年齢の上限を区切っていた文言は削除し、年齢層の情報は「20〜50代が在籍」のような職場の事実の紹介として書き直しました(誰を採るかの条件ではなく、いま誰が働いているかの記述にする、という整理です)。
これを最初にやる理由は2つあります。表現規制に触れる疑いのある原稿は、内容以前に掲載審査や行政指導のリスクを抱えること。そして、性別や年齢で絞る書き方は「来てほしい人物像を具体的に書く」ことの代用品にすらなっていないことです。絞りたいのが本音なら、絞る軸を属性ではなく経験・希望条件・働き方に変えます。それは手順4で効いてきます。
手順2: 必須8項目を埋める
未記載だった6項目(仕事内容・給与・勤務地・勤務時間・休日・応募方法)を全部埋めます。ここで重要なのは「書くか書かないか」であって、書き方の巧拙ではありません。給与は「月給24万円〜38万円」のように幅と根拠(経験・資格による)をセットで明示。休日は「年間休日105日」と日数で明示。仕事内容は、朝7時30分の集合から夕方の片付けまでの1日の流れが想像できる粒度で書きました。
あわせて、ベタ書きだった本文を【仕事内容】【給与】【休日】のような見出しと箇条書きに組み替えました。求人票はスマホで流し読みされる前提の文書です。リライト後の原稿は、見出し・箇条書きにあたる行が31行あります。
手順3: 常套句を、検証可能な事実に置き換える
この添削の核です。5つの常套句を全部消して、代わりに会社の事実を数字で入れました。実際の置換をいくつか並べます。
「アットホーム」は、読み手には確かめようがありません。「平均勤続9年・直近3年の離職1名」なら、読み手は面接で「本当ですか」と聞けます。数字だけが、読み手に検証可能な情報を渡します。常套句が悪いのは陳腐だからではなく、社名を伏せたらどの会社の求人か分からなくなる——つまり選ぶ理由を1つも提供していないからです。あいまいな待遇の書き方(「頑張り次第」)も同じ要領で、昇給を実額と条件で明示する形に置き換えました。リライト後の原稿は、単位つきの数字が32箇所入っています。実際、後述のAI評価は、この原稿の差別化の根拠として離職者数・平均勤続・年齢構成・有給取得率・昇給実額といった固有の数字を挙げています。
手順4: 応募をためらう人の不安に、先回りして答える
建設の仕事に応募を迷う人の不安は、だいたい決まっています。体はもつのか。天気で収入が変わらないか。休めるのか。残業はどうなのか。リライトでは、この不安のそれぞれに事実で答える記述を入れました。
- 体力への不安 → 「重い資材は2人で運ぶルール」を明記
- 天候と収入への不安 → 「雨天時は休業手当」を明記
- 休日への不安 → 「年間休日105日」を明記
- 労働時間への不安 → 残業月平均9時間、17時30分退社の運用を明記(時間外労働の上限規制、いわゆる建設業の2024年問題を意識した記述)
不安への回答は、求人票では省かれがちです。書かなくても嘘にはならないからです。しかし読み手の側は、不安に答えていない原稿を「都合が悪いから書いていないのでは」と読みます。答えを原稿の中に書いておかないと、応募のひとつ手前で、静かに候補から外れます。
手順5: 応募のハードルを下げる導線で締める
最後に、応募方法を「まずは見学だけでも歓迎」という一段低い選択肢つきで書きました。履歴書を書いて面接に来い、が唯一の入口だと、迷っている人はそこで止まります。見学・電話・メールのような小さい一歩を用意すると、「応募するほどではないが気になっている」層に道ができます。
再採点: 96点・ランクS
リライト後の原稿を、同じエンジン・同じ業種条件で再採点した結果です。
| カテゴリ | リライト前 → 後 |
|---|---|
| 法令・表現リスク | 6 → 20 / 20 |
| 必須情報の網羅 | 4 → 25 / 25 |
| 具体性・読みやすさ | 0 → 15 / 15 |
| 訴求力(AI評価) | 3 → 36 / 40 |
| 総合 | 13 → 96 / 100(ランクD → S) |
機械チェックの60点分(法令・必須・具体性)は満点になりました。ここは手順1〜3をやり切れば満点になる設計です。AI評価の訴求力は3点から36点。内訳は、ターゲット訴求8/10、他社との差別化9/10、不安への回答10/10、誠実さと読後感9/10でした。
ひとつ補足すると、トップページで公開している実在の求人票2本の実測(72点・70点)では、失点の大半は基礎ではなく訴求力(16/40・15/40)に集中していました。欠陥全部盛りのサンプルは基礎(手順1〜2)から、媒体に掲載されている現実の原稿は手順3〜5(数字への置換・不安への回答・応募導線)から——伸びしろの場所が違う、というのが実測から見えている構図です。
96点のまま公開する理由——満点にしなかった4点の中身
訴求力は36/40で、満点ではありません。もう一巡リライトして残りの点を取りにいくこともできましたが、宿題を残したまま、ありのまま公開することにしました。4点ぶんの失点(ターゲット訴求2点・差別化1点・読後感1点)に対応して、AI評価が残した指摘は次の3つです。
- 未経験の異業種転職者を主軸にした結果、間口を広げた分だけターゲットの焦点がやや緩んだ。「なぜ未経験者を求めるのか」の一文があるとさらに絞れる
- 給与レンジ24万〜38万円の幅を、入社年次ごとのモデルケースで示すと、未経験者が将来収入を想像しやすい
- 安全管理の固有の事実(労災に関する実績や安全教育の頻度など)があると、危険への不安に直接答えられる
この3つは、サンプルではなく実在の会社の原稿なら、社内の事実を確認して埋められる類のものです。つまり実務では「事実の掘り起こしをどこまでやるか」が最後の4点を決めます。
この添削から持ち帰れること(3つ)
- 点数の大半は、文才ではなく「情報の欠落」で決まっていた。13点→96点のうち、法令・必須情報・具体性の機械チェックで失っていた50点分は、基礎を立て直せばそのまま戻る失点だった。特殊な技術は1つも使っていない。
- 数字だけが、読み手に検証可能な情報を渡す。形容詞は他社の原稿と交換可能だが、「従業員14名・平均勤続9年・離職1名」はその会社にしか書けない。
- スコアの改善は、応募数の保証ではない。応募には給与水準・労働市場・媒体・時期という原稿の外の要因が絡む。それでも原稿は、掲載費を追加で払わずに、今日、管理画面から変えられる唯一の変数だ。
よくある質問
この「13点→96点」は実在企業の求人票ですか?
いいえ。応募が来ない求人票にありがちな欠陥を集めて当方が作成したサンプル原稿を、当サービスの手順でリライトした添削デモです。実在企業の求人・実績ではありません。実在の求人票については、媒体掲載中の2本を診断した実測値(72点・70点)をトップページで公開しており、お客様の事例は許諾をいただけた案件から公開していきます。
96点まで直せば、応募は来るようになりますか?
応募数の保証はできません。応募が来るかどうかは、給与水準・地域の労働市場・媒体・時期など、原稿以外の要因にも左右されます。この点数が測っているのは「読み手が応募を判断するために必要な情報が、法令面のリスクなく、検証可能な形で原稿に載っているか」です。効果を保証する業者がいたら、その根拠を先に確かめることをおすすめします。
この手順は自分でやってもいいのですか?
かまいません。手順はこの記事に書いた通りで、隠している工程はありません。ご自身で書き直したうえで、直した原稿がいま何点かを確かめたい場合は、無料診断がこの記事と同じエンジン・同じ基準で採点します。時間がない・任せたい場合の受け皿として、有料のリライト(重点リライトから)をご用意しています。
あなたの求人票は、いま何点か
この記事と同じ診断エンジン(4カテゴリ・100点満点)で、あなたの求人票を無料で採点します。
求人票のテキストを貼るだけ。改善ポイントTOP3を24時間以内にメールでお届けします。
クレジットカード不要・営業電話は一切いたしません
※本記事のビフォーアフターは、当方が典型的な悪い求人票を再現して作成したサンプルを、当サービスと同じ手順でリライトした添削デモです。実在企業の求人・実績ではありません。リライト前の原稿は法規制に触れる疑いのある文言を含むため、原文の全文は掲載していません。スコアはすべて当方の診断エンジンによる実測値です(リライト前: 2026年7月13日採点/リライト後: 2026年7月16日採点)。