無料だから、まずはハローワークに。そう考えて求人を出してから、もう数ヶ月になる。窓口からの紹介の連絡もなければ、応募もない。求人の有効期限だけが近づいていき、社長にはまた「まだ応募はありません」と報告するしかない——。
このとき頭に浮かぶのは、たいていこの問いのはずです。「ハローワークだから来ないのか。それとも、原稿が悪いのか。」
この記事は、その切り分けの考え方を先に示します。そのうえで、求人票を100点満点で採点する当方の診断エンジンが、人手を介さず機械的に判定している基礎項目——必須情報8項目と、具体性の判定基準——をそのまま公開します。機械的に判定できるということは、あなたも今日、自分の原稿を同じ基準で点検できるということです。
切り分けの前提——ハローワークは文字情報が主戦場になる媒体
最初に、媒体側の構造を中立に押さえます。
ハローワークは、無料で全国の求職者に求人を届けられる公的なインフラです。窓口での紹介だけでなく、事業主が公開を選んだ求人はハローワークインターネットサービスに載り、自宅のスマートフォンやパソコンから検索されます。つまりあなたの求人票は、窓口の職員の目と、画面越しに見比べる求職者の目の、両方にさらされ得ます。
ここで、原稿の前にハローワーク側の設定として確認しておくべき点が3つあります。①求人の公開範囲の設定はどうなっているか(公開範囲を狭くしていれば、そもそも検索する求職者に届いていません)。②職種名は、探す人が検索に入力しそうな言葉になっているか。③その地域・その職種で、いまハローワークに求職者がどれくらいいるか(窓口で確認できます)。この3つを確認して問題がなければ、残る変数は原稿です。
そして原稿側の比較には、この媒体の構造が味方します。ハローワークの求人票は全社共通の様式で、比較の主戦場は文字情報です。様式が同じなら、差がつくのは中身——どの欄に、どれだけ具体的なことが書いてあるか——の比重が大きくなります。「同じ様式で応募が入っている求人と、自分の求人は中身で何が違うのか」という比較が、そのまま原因の点検になるということです。市場の厳しさはあります。厚生労働省が毎月公表している「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」——これはハローワークの窓口業務の統計そのものです——を見ると、多くの職種で求人が求職を上回る状態が続いています。それでも、同じ様式・同じ地域・同じ職種の土俵で、選ばれる求人票と閉じられる求人票は現に分かれます。
そして原稿は、媒体を替えることや待遇を上げることと違って、あなたが今日、求人票の変更手続きで直せる変数です。だからここから先は原稿の話をします。
機械的に判定できる基礎——当方エンジンの実装をそのまま公開する
当方の診断エンジンは、求人票を「法令・表現リスク(20点)」「必須情報の網羅(25点)」「具体性・読みやすさ(15点)」「訴求力(40点)」の4カテゴリで採点します。このうち法令・必須情報・具体性の60点分は、AIの判断を介さない機械チェックです(法令チェックの中身は本記事では扱いません)。本記事で公開するのは、必須情報と具体性の40点分の判定基準——実装そのままの数値です。
必須情報の網羅(25点)——8項目の配点。仕事内容(4点)・給与の金額明示(5点)・勤務地(3点)・勤務時間(3点)・休日休暇(4点)・雇用形態(2点)・保険と福利厚生(2点)・応募方法と連絡先(2点)。記載が見つからなければ、その項目は0点です。配点が示すとおり、8項目の中では給与の金額がいちばん重く、休日と仕事内容が続きます。金額のない求人票は比較の土俵に乗れません。
具体性・読みやすさ(15点)——4つの判定基準(合格/要注意/要改善の3段階)。
- 情報量: 本文600文字以上で合格。300〜599文字は要注意、300文字未満は要改善。情報が薄い求人票は「何も言っていない」のと同じです
- 数字の密度: 「月給25万円」「年間休日105日」「残業月8時間」のような単位つきの数字が10箇所以上で合格。5〜9箇所は要注意、5箇所未満は要改善。数字だけが、読み手に検証可能な情報を渡します
- 常套句: 「アットホーム」「やりがい」「明るい職場」のようなあいまいな決まり文句が1〜2語で要注意、3語以上で要改善。どの会社の原稿にも書けてしまう言葉は、様式が共通のハローワークではとりわけ埋没します
- 構造化: 見出しや箇条書きにあたる行が5行以上で合格。2〜4行は要注意、2行未満は要改善。ベタ書きの長文は、スマートフォンの画面では読まれません
機械で判定できる基礎は、これだけ具体的に決められるということです。そして機械的に判定できるからこそ、「書けているつもり」という体感と、計測の結果がずれていれば、ずれたぶんだけ露骨に差が出ます。文字数や数字の数は、体感では正確に見積もれないからです。
自分で点検するためのチェックリスト——8項目
上の実装基準(1〜5)に、実務上の補足(6〜7)と法令面の点検(8。当方エンジンでは別途、法令チェック層が判定している領域です)を足した、自分で点検するためのチェックリストです。自分で直せる方は、このまま使ってください。囲い込むつもりはありません。着手は1(金額)と2(必須項目の欠け)から——必須8項目の配点で重く、直すのも事実を書き足すだけで済むからです。
- 給与は金額で書いてあるか。「当社規定による」は、比較の土俵から自分で降りる書き方です。「月給◯万円〜◯万円(経験・資格による)」のように幅と根拠を明示します。必須8項目の中で最も配点の重い項目です。
- 必須8項目に欠けがないか。仕事内容・給与・勤務地・勤務時間・休日・雇用形態・保険と福利厚生・応募方法。ひとつずつ、自分の求人票に指を当てて確認します。「書いたはず」ではなく「どの欄のどの行にあるか」で確かめます。
- 単位つきの数字を数えたか。給与幅・年間休日・残業時間・従業員数・創業年数——自分の原稿の数字を実際に数えてみてください。10箇所が目安です。「残業少なめ」ではなく「残業月平均8時間」。
- 本文の情報量は足りているか。目安は600文字以上。仕事内容の欄が一文で終わっていたら、1日の流れ・使う道具・関わる人を足します。
- 決まり文句を事実に置き換えたか。「アットホーム」「やりがい」を消して、「社員の平均勤続◯年」「毎朝10分の朝礼以外に会議なし」のような確かめられる事実に置き換えます。様式が共通だからこそ、固有の事実だけが差になります。
- 検索される言葉で書いたか(実務上の補足)。ハローワークインターネットサービスの求職者はキーワードで検索します。社内の呼び名(「業務スタッフ」等)ではなく、探す人が入力しそうな職種の言葉と仕事内容の言葉を本文に入れます。
- 応募のハードルを下げる一文があるか(実務上の補足)。「まずは電話で見学だけでも可」。ハローワークは窓口紹介という手順がある分、直接の一歩を軽くする選択肢が書かれているかどうかは、迷っている人の背中を押せるかを左右します。
- 性別・年齢まわりの表現が紛れていないか(法令面の点検)。募集・採用で年齢制限を設けることは労働施策総合推進法(旧雇用対策法)により原則禁止で、例外にあたる場合の条件は厚生労働省の指針にまとまっています。性別で応募者を絞ったり一方を優遇したりする書き方は、男女雇用機会均等法に反します。ハローワークの窓口確認があるとはいえ、手当の支給条件を特定の年齢で区切るような、読み手の間口を狭める表現は自分でも点検する価値があります。
点検の結果を、数字で確かめたいときは
このチェックリストで直せるなら、それがいちばん早くて安い方法です。
ただ、「直したつもり」と「直った」の間には距離があります。自分の会社の求人票は、書いた本人には欠陥が見えにくいからです。とくに数字の密度や情報量は、書いた本人の体感と機械の計測がずれやすい部分です。
当方では、この記事で公開した実装そのままの採点エンジンによる、求人票の無料診断を行っています。求人票を貼るだけで、100点満点の採点と、優先度をつけた改善点3つを、24時間以内にメールでお返しします。営業電話はかけません。応募数の保証は、どんな診断にもできません。できるのは、あなたの求人票がこの記事の基準でいま何点なのかを、切り分けの道具としてお返しすることです。
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出典
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/114-1.html
- 必須情報8項目の配点・具体性の判定基準: 当方診断エンジンの機械チェック層の実装をそのまま記載
本記事の採点項目・配点・判定基準は、当方診断エンジンの実装をそのまま記載したものです。法令にふれた記述は表現リスクの解説であって、法的なアドバイスではありません。
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